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  • 2009年12月26日(土)

「カレンダー」

DSCF4929.JPGこんにちはホームアドバイザーの川田です。

住宅部に来てから初めての年末を迎えました。

今オーナー様のお宅へ、カレンダーをお持ちしております。

 

住宅部のカレンダーは星野富弘さんの詩画集で、オーナー様にはとても評判がいいようです。

 

 

星野富弘さんは、倉賀野中学で、体育の教師をしていた時

クラブ活動指導中に怪我をなされ、手足の自由を失いました。

先日お伺いしたオーナー様の奥様は、星野先生に、体育を教えてもらったと、話しておりました。

 

手足が不自由になってから、口に筆をくわえ文字を書き始め

そこの片隅に花の絵を描き始め、素晴らしい作品を数多く創作されました。

その美しさが、皆さんの感動を誘っております。

私も十数年前に、その美しさに魅せられ、草木湖畔にある、富弘美術館へ伺いました。

その時に買ってきた、「鈴の鳴る道」という詩画集の中の詩を紹介します。

「鈴の鳴る道」

車椅子に乗るようになってから十二年が過ぎた。その間、道のでこぼこが良いと思ったことは

一度もない。本当は曲がりくねった草の生えた土の道のほうが好きなのだけれど

脳味噌までひっくり返るような震動には、お手上げである。

だいいち、力の弱い私の電動椅子では、止まってしまう。

車椅子に乗ってみて、初めて気がついたのだが、舗装道路でも、いたるところに段があり

平らだと思っていたところでも、横切るのがおっかない位傾いていることがある。

ところが、この間から、そういった道のでこぼこを通る時に、一つの楽しみが出てきた。

ある人から、小さな鈴をもらい、私はそれを車椅子にぶら下げた。

手を振って音を出すことができないから、せめて、いつも、見えるところにぶら下げて、

銀色の美しい鈴が揺れるのを、見ているだけで良いと思ったからである

道路を走っていたら、例のごとく、小さなでこぼこがあり、私は電動車椅子のレバーを慎重に動かしながら、そこを通りぬけようとした。

その時車椅子につけた鈴が「チリン」と鳴ったのである。心にしみるような澄んだ音色だった。

「いい音だな」 私はもう一度その音色が聞きたくて、引き返してでこぼこの上に乗ってみた。

「チリーン」 「チリーン」小さいけれど、本当に良い音だった。

その日から、道のでこぼこを通るのが楽しみになったのである。長い間、私は道のでこぼこや小石を

なるべく避けて通ってきた。そしていつも間にか、道にそういったものがあると思っただけで

暗い気持を持つようになっていた。しかし小さな鈴が「チリーン」と鳴る、たったそれだけのことが

私の気持ちを、とても和やかにしてくれるようになったのである。

鈴の音を聞きながら、私は思った。

「人も皆 この鈴のようなものを、心の中に授かっているのではないだろうか」

その鈴は、整えられた平らな道を歩いていたのでは鳴ることがなく、人生のでこぼこ道にさしかかった時、揺れて鳴る鈴である。美しく鳴らし続ける人もいるだろし、閉ざした心の奥に 抑え込んでしまった人もいるだろう。

私の心の中にも、小さな鈴があると思う。その鈴が、澄んだ音色で歌い、キラキラと輝くような

毎日が送れたらと思う。

私の行く先にある道のでこぼこを、なるべく迂回せずに進もうと思う。

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